政策提言『新しい時代の地域再生政策(中間報告)~「地域コミュニティの再生」と「地域内循環型経済の形成」を目指して~』

地方は、今、これまでにない厳しい環境にある。人口減少、少子・高齢化の急速な進展の影響等により、地方の多くの地域で過疎化や地盤沈下は進み、地域は閉塞感で覆われている。さらに、地域のコミュニティや伝統・文化の衰退までも懸念される状況にある。

日本を構成する「地域」の活性化なくして日本の再生はない。政府は、昨年末に「新成長戦略(基本方針)~輝きのある日本へ~」を策定したが、新たな成長産業の育成には時間がかかる。昨今の地方の厳しい経済情勢に鑑みると、中長期的な戦略の推進と同時に、政府は、直ちに、これまでの政策を場本的に見直し、地域産業の活性化や雇用の確保・創出に結びつく効果的な地域再生政策を具体化、強力に推進すべきである。

東京財団では、この喫緊の課題に応えるべく、新たに「地域再生政策研究プロジェクト」を昨年9月に立ち上げ、現在推進中の地域再生関連施策の検証、課題を明らかにするとともに、喫緊の課題である地域産業の活性化や地域の雇用の場の確保・創出のための諸方策をはじめ、経済的に自立した持続可能な地域の再生を進める上でポイントとなる「コミュニティの再生」及び「地域内循環型経済の形成」促進のための効果的な政策や仕組み等について研究を進めてきた。今般、これまでの11回に及ぶ研究会での熱心かつ建設的な議論を踏まえ、東京財団において、地域再生を効果的に推進するための3つのポイントと15の政策提言(中間報告)を取りまとめました。

政策提言を出すにあたって、地域での活発な議論を喚起する観点から、あえて提言内容の絞込みを行わず、アイデアレベルのものも含めて、世に問うこととした。

この政策提言がきっかけとなり、政府はもとより、地方自治体や地域再生に取り組む関係者の間で地域再生に関する政策議論・検討が進み、一刻も早く、効果の高い地域再生政策・施策の展開や具体化に向けた動きを加速させることにつながることを期待したい。

また、今回の政策提言に関する忌憚ないご意見等を頂戴し、今後の政策研究に反映することとしたい。

【『新しい時代の地域再生政策(中間報告)』の構成】

1.研究の目的及びこれまでの研究活動の経緯

2.「地域」が直面する主な課題

地域再生を進める上で特に問題となっている事項や対応が求められる課題等を概観する。

3.政府の地域再生に関する取組の検証

政府によるこれまでの地域再生に関する政策をレビューするとともに、現行支援制度の主な問題点を洗い出す。また、政権交代前後の最近の地域再生政策の動向やその特徴を概観し、地域再生を進める上での3つのポイントを整理している。

(Point1) 地域の絆・コミュニティの再生
(Point2) 効果の見える地域再生のための計画の作成
(Point3) 地域内循環型経済の形成促進

4.新たな時代に対応した地域再生政策への提言

地域再生を効果的に推進するための15の政策提言とりまとめている。

なお、議論喚起の観点から、あえて提言内容の絞込みを行わず、アイデアレベルのものも含めて、幅広に明記することとし、その際、分かりやすいよう、下のとおりA-Cの3つの分類を付すこととする。

A:具体化には更なる検討が必要だが、取り組むことが望まれる提言
B:困難ではあるが、強力な政治的リーダーシップがあれば、実現が可能と思われる提言
C:現行制度内で対応可能な提言


1.既存の地域再生支援制度を抜本的に見直せ

〔提言1〕地域再生関連支援制度の抜本的な合理化・統合を図れ(B)
〔提言2〕地域の多様な主体のパートナーシップを基本とした地域経営事業組織を核とする新たな地域再生支援スキームを構築せよ(C)
〔提言3〕各省庁に分散する地域再生関連セクションの整理・合理化を進めるべき(B)
〔提言4〕補助金等の支援を受け事業を行う民間団体等の事業推進に必要な事業資金の確保のための仕組みの創設を図れ(C)


2.地域への「担い手人材」の流動化の仕組みを構築せよ

〔提言5〕霞が関人材の地域再生への投入・活用を図れ(A)
〔提言6〕「平成の開拓使」派遣プロジェクトの推進を図れ(A)
〔提言7〕地域への人材派遣支援事業の派遣期間の見直し、長期化を図れ(C)
〔提言8〕「地域人材育成奨学金制度」の創設の促進を図れ(B)


3.地域を想う「志金」を地域再生に積極的に活用せよ

〔提言9〕地域経営事業組織支援のための税制上の特例措置の創設を図れ(B)
〔提言10〕まちづくりや地域資源を活用した事業を応援するファンド支援のための税制上の特例措置の創設等を図れ(B)
〔提言11〕 ふるさと納税を促すための制度改善を図れ(C)


4.その他の地域再生に資する施策等に関する提言

〔提言12〕 金融検査のあり方を見直せ(C)
〔提言13〕郵便局ネットワークのコミュニティ・サービス拠点としての活用を図れ(B)
〔提言14〕地域内調達率の向上を促す制度の創設を図れ(B)
〔提言15〕地域の実情に合った社会資本整備の仕組みを構築せよ(B)


◆政策提言『新しい時代の地域再生政策(中間報告)~「地域コミュニティの再生」と「地域内循環型経済の形成」を目指して~』はこちら

【リーダー】
井上健二 東京財団研究員兼政策プロデューサー

【メンバー】
赤川貴大 東京財団研究員兼政策プロデューサー
冨田清行 東京財団研究員兼政策プロデューサー

井上 健二

  • 元東京財団研究員

赤川 貴大

  • 元東京財団研究員・政策プロデューサー

冨田 清行

  • 元東京財団研究員