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政策提言「納税者の立場からの番号制度導入の提言」

June 8, 2009

今般実施された「定額給付金」の制度設計において、給付対象の「所得制限」をしなかったことがバラマキ批判を浴び、給付をともなう制度設計のインフラともいうべき納税者番号の必要性が改めて認識されました。現在、各政党や政府税調においても本格的な検討が始まっています。

従来の納税者番号制度を巡る議論は、「適正・公平な課税な実現」という徴税側の理由ばかりが主張されてきましたが、東京財団 「税と社会保障の一体化研究」 (プロジェクト・リーダー: 森信茂樹 上席研究員)では、納税者番号制度が「国民にとって受益となる新たな政策」を提供するという視点から制度の導入を提言します。

【提言の骨子】

<納税者番号制度導入によって実現可能となる国民受益の政策>
納税者番号の導入によって、以下のような新たな政策が実現可能となる。これらの政策のメリットを享受するために納税者番号の導入が必要。

1.給付付き税額控除―税制と社会保障の一体改革
2.金融所得一体課税と資産形成支援税制の導入
3.記入済み申告制度の導入
4.E-taxと組み合わせた(選択的)自主申告制度の導入


<取り組むべき課題>
○制度導入の具体的な方法として、諸外国では社会保障番号を利用する例、住民登録番号を利用する例、税務番号として導入された例などがある。我が国においては「住民票コード」「基礎年金番号」がすでに導入されているが、現在議論されている「社会保障カード・社会保障番号」なども含め十分検討すべき。

○制度導入により、行政によるプライバシーの取り扱いや民間企業による利用への懸念がある。これらの問題については、まず「情報プライバシー権」の内容を基本法のかたちで明らかにし、「人権」として定義すべき。さらに、プライバシー情報の検査権を付与した公的機関を設置するなどプライバシー保護の実効性を担保する政策対応を包括的に実施すべき。


概要版「納税者の立場からの番号制度導入の提言」 はこちら

「納税者の立場からの番号制度導入の提言」 はこちら

 

【研究会メンバー】

森信茂樹 東京財団上席研究員、中央大学法科大学大学院教授
阿部泰久 日本経済団体連合会経済基盤本部長
井伊雅子 一橋大学国際・公共政策大学院教授
酒井克彦 国士舘大学法学部教授
鈴木正朝 新潟大学大学院実務法学研究科教授
砂原庸介 大阪市立大学法学部准教授
大沼瑞穂 東京財団政策研究部プログラム・オフィサー
佐藤孝弘 東京財団政策研究部研究員兼プログラム・オフィサー

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