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地方議会議員政策勉強会「全国都市のサステナブル度調査-経済発展と環境保全の両立させた都市はどこか-」レポート

March 18, 2010

概要

2010年3月11日、「地方議会の改革プロジェクト」の地方議会議員政策勉強会として、日本経済新聞社編集局産業地域研究所地域研究グループ『日経グローカル』編集の市川嘉一主任研究員を講師に招き、「全国都市のサステナブル度調査-経済発展と環境保全の両立させた都市はどこか-」を開催しました。

まず、「ヨーロッパにおけるサステイナブル都市の形成と第三者評価」をテーマに、地球温暖化とサステイナブル都市やサステイナビリティー(sustainability:持続可能性)と都市政策、欧州におけるサステイナブル都市を促すための指数開発について講演がありました。欧州で採用されているいくつかの評価指数が紹介されました。そのうち2つを紹介いたします。

  • Urban Auditは、9つの分野(「人口的側面」「社会的側面」「経済的側面」「市民参加」「教育・職業訓練」「環境」「交通・輸送」「情報社会」「文化・余暇」)の25領域についてデータ収集を実施し、ベンチメーキングとして、指数ごとに都市ランキングを公表している。ただし、総合ランキングを公表していない。これは、各都市の強み・弱みを分析するには有効なツールとして、この調査に協力している15カ国258の都市には理解され、概ね好意的に受け止められている。
  • 欧州共通指数(European Common Indicator)は、イタリアの民間シンクタンクが開発した指数で、22カ国144都市が参加を表明している。指数は10項目から構成されている。特に注目すべきは、地域の公共オープンエリアの利用についてである。5,000m2以上の緑地を公共オープンエリアと定め、そこから300m以内に居住する市民の割合等を指数化している。

続いて、『日経グローカル』で特集として連載された「全国都市のサステナブル度調査」の概要について説明がありました。これからの自治体運営に都市の快適さの追求が、ひとつの機軸となることが予想されます。欧州に比べ、日本の自治体では総合的な戦略など本格的な取り組みは不十分ですが、いくつかの自治体ではその機運は見受けられ、今後の進展が期待されます。

全国から十数名の地方議会議員の参加があり、出身や出身地周辺の自治体のランキングや自治体運営への影響、首長の政治的利用などについて活発な議論が繰り広げられました。都市のsustainability(持続可能性)という新しい概念に基づき評価し、ランク付けすることは、挑戦的な活動であり、将来の都市の姿を描くヒントや議論の土台のひとつを提供することが期待されます。

<文責:赤川貴大>

    • 元東京財団研究員・政策プロデューサー
    • 赤川 貴大
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