第1回中国環境ビジネス研究会レポート | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

東京財団政策研究所

詳細検索

東京財団政策研究所

第1回中国環境ビジネス研究会レポート

December 15, 2010

「日中環境研究」


東京財団研究員
染野憲治

概要

第1回中国環境ビジネス研究会では、東京財団・現代中国研究プロジェクトの一環として行っている「日中環境研究」について、東京財団の染野憲治研究員より中国へ進出している日本企業、中国の環境問題の専門家らの考えなど現地ヒアリングの報告等を行い、その後、環境ビジネスに関するリスクなど活発な議論が展開された。

発表内容

(1)現代中国研究:日中環境協力(2009-2010)の概要
(2)現地ヒアリング報告
(3)研究の方向性

(1)現代中国研究:日中環境協力(2009-2010)の概要

近年の日中関係は「戦略的互恵関係」をキーワードに、新たなバランスを模索している。そして「互恵」の例として、必ず持ち出されるのが「環境」である。しかし、これまでの議論は総論に終始し、「環境」をテーマとした具体的な戦略的互恵関係について十分な検討が尽くされているとは言い難い。今後は、ODAを介したお付き合いが主流であった日中環境「協力」から、利害の対立・調整も含む、より複雑な日中環境「共生」を模索する必要があろう。

本研究は、「環境」をキーワードとした日中の戦略的互恵関係について、これまでの日中環境協力の成果、日中が戦略的互恵関係を築くための一致できるポイントを分析し、その分析結果を踏まえ、日中環境「協力」から日中環境「共生」へ移行する必要性と可能性を考察し、日本の対中環境戦略について提言を行うことを目的としている。

これまでの活動については下図のとおり。

<図の拡大はこちら>

(2)現地ヒアリング報告

2009年10月より、日本及び中国の政府系機関、大学・研究機関・NPO、日本及び中国企業等に日中環境協力、中国における環境ビジネスのニーズと課題についてヒアリングを行っている。課題としては、両国の国民感情、相互の社会状況への理解不足、縦割り・関係者の連携不足、現地(中国)ニーズとの乖離、資金・費用負担、ビジネストラブル処理(知的財産権等)が挙げられた。また、環境協力に携わってきた有識者からは、日本と中国のビジネスに対する考え・取組の相違や、戦略的な環境協力の必要性などが指摘された。

(3)研究の方向性

「戦略的互恵関係」をキーワードとする今後の日中関係は、日本から中国への「協力」から、日本と中国の「共生」へ移行する必要性と可能性がある。日本の成長戦略、国際社会における日本の立ち位置という2点から、環境分野における「共生」を模索したい。この際、いわゆる「チャイナリスク」への対処、日本の国内体制について検討を行っていく予定である。

    • 元東京財団研究員
    • 染野 憲治
    • 染野 憲治

注目コンテンツ

BY THIS AUTHOR

この研究員のコンテンツ

0%

INQUIRIES

お問合せ

取材のお申込みやお問合せは
こちらのフォームより送信してください。

お問合せフォーム