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未来から逆算して今の世界を考える:Global Governance Futures 2025 プログラムが終了

June 10, 2015

浅野貴昭
(東京財団 研究員 兼 政策プロデューサー)


東京財団が、ドイツの国際公共政策研究所(GPPi)等とともに実施した 「グローバル・ガバナンス・フューチャーズ2025」 (以下GGF2025)プログラムが、1年間にわたる活動を経て、今年5月に終了した。


2025年から今を振り返る
同プログラムは、ドイツのボッシュ財団による支援の下、日本、ドイツ、米国、中国、インドの5ヶ国から25人のフェローを募り、1年間をかけて、グローバル・ガバナンス課題について議論を重ねるというもの。2014年から2015年にかけて実施されたGGF2025では、地球工学、インターネット・ガバナンス、無人兵器の軍備管理という3つの具体的な課題を取り上げた。

時代の要請に応えたグローバル・ガバナンス体制を国際社会は構築できるのか、その方向性や実現に向けたプロセスはいかにあるべきか、と25人のGGFフェロー達は、シナリオ・プランニングの手法を用いて、10年後の国際社会の姿を描いた。各検討チームがまとめた報告書は、未来予測というよりは、2025年の近未来から現在を振り返り、今なすべきことを考えるための手引きである。鍵となる複数の要因が相互に影響を及ぼしながら、どのようにダイナミックに国際社会の景観を変え得るか、ということを示し、その思考実験をもって、専門家との政策コミュニケーションの手掛かりにしようということである。

次代の政策コミュニティ作り
昨年6月にベルリンにて始まったGGF2025は、東京、北京、ニューデリー、ワシントンDCの各都市を順次巡り、2025年の近未来シナリオを検討してきた。識者による講義を受けるのではなく、参加フェロー同士の徹底的な議論と外部専門家との掛け合いを軸として、フェロー自身がプログラムとコンテンツを組み立てた。報告書をまとめ上げる過程で、適宜、論考やインタビュー記事という形で情報発信に努めることもフェローには求められた。

また、1年間で延べ4週間強にわたって濃密な時間を共有してきたフェロー達が、その間に築き上げた個人的な信頼関係を継続させ、国境を越えたコミュニティを形成していくこともプログラムの目指すところである。

今年5月にワシントンDCにて開催された最終会合では、ブルッキングス研究所にて、3つの報告書のお披露目を行うとともに、研究者や実務者を招き、彼らと活発かつ率直な意見交換を行った。議題はGGF2025の検討テーマにとどまることなく、越境的な政策課題全般をめぐる国際トレンド、グローバル化と国内政治の兼ね合い等々、官民の専門家と直接、顔を突き合わせての対話を重ねた。多様な文化的背景と専門性をもつGGFフェローとの対話は、ややもすると予期せぬ展開をみせたが、その意外性も含めて、すべての参加者が知的プロセスを楽しんでいたように見えた。


国境を越えたネットワークによる初めの一歩
GGFプログラムのスタートは2010年。ドイツ、米国、中国のフェローが集い、10年後のグローバル・ガバナンスについて意見を交わした。第3期目となるGGF2025(2014~2015年)からは、日本とインドのフェローが新たに加わり、5ヶ国のプロフェッショナルによる政策対話、リーダーシップ研修という形でそのスケールが拡大した。すでに第4期実施に向けた検討も始まり、GGF卒業生たちもネットワークの維持と活性化のための自主的な活動を始めている。

独ボッシュ財団、運営団体であるGPPi、そして東京財団を含む、各国パートナー団体/大学の一部は、有効な人材プールとしてGGFネットワークの活用に関心を示し始めている。新たなグローバル・ガバナンス体制の構築に向けた、小さいながらも、新たな取り組みが始まっている。

Global Governance Futuresプログラム ウェブサイト
GGF2025最終報告書 (2015年5月発表)
GGF2025フェロー募集要項 (参考:2014年1月)

    • 元東京財団研究員
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