ワシントンUPDATE 2024年大統領選へのトランプ氏の再出馬はあるのか?

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ワシントンUPDATE 2024年大統領選へのトランプ氏の再出馬はあるのか?

ポール・J・サンダース
米センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト 上席研究員

 

大統領選挙でトランプ大統領が敗北すれば、米国の政治が異常な状態にあった4年間にようやく終止符が打たれる――多くの人々はそう期待していた。しかしいざ選挙が終わってみると、トランプ氏の敗北によって1つの時代が終わるわけではなさそうだということが明らかになってきた。それどころか、今回の大統領選挙は長期にわたる混乱の第1段階の終わりにすぎないという可能性すらある。もしそうだとしたら、21世紀の米国を席巻したトランプ氏のポピュリズムは、今後さらなる混乱を巻き起こすのかもしれない。

トランプ氏再出馬の可能性
共和党から立候補するのか?
勝算はあるのか?

トランプ氏再出馬の可能性

トランプ大統領は、2021年1月に行われるバイデン氏の大統領就任式当日に、2024年大統領選挙への再出馬を表明するとみられている[1]。これが単なる予測ではなく現実のものになる可能性は高い。 

その第一の理由は、再出馬の表明は政治的な支配力の維持につながり、トランプ氏にとっては非常に魅力的だと思われることだ。大統領就任式のインパクトを弱め、自身と2020年大統領選への不満に注目を集め、戦い続ける姿勢を支持者にアピールできるだけでなく、係争中の法律上および税務上のいかなる嫌疑や申し立てに対しても、政治的な動機によるものだと主張することが可能になる。 

第二の理由は、自身の事業のテコ入れや新事業の立ち上げに選挙を利用できることだ。トランプ氏は既存の事業で巨額の負債を抱えていると言われるが[2]、その一方で、FOXニュースに対抗する新たなデジタルメディアを立ち上げる意向があるとの報道もある[3]。大統領選への再出馬は、特に新規メディアに対する投資を呼び込む効果が期待できるだろう。また、自身のデジタルメディアを設立すれば、4年後の再選に向けた選挙活動の助けにもなるはずだ。 

そして第三の理由は、政治の世界では巨額の金が動くことだ。トランプ大統領は10月中旬以降、4億9,500万ドルの資金を集めた[4](選挙後に集まった1億7,000万ドル以上の献金[5]を含む)。この資金を利用して自身が設立する新メディアに広告を打てば、今後の活動にさらにプラスの効果がもたらされるだろう。

共和党から立候補するのか? 

では大統領選に再出馬する場合、トランプ氏は共和党から立候補するのだろうか。2021年1月5日に行われるジョージア州の上院決選投票に向けた動きを見ると、共和党内には複雑な力学が存在することが分かる。 

トランプ大統領は11月、アトランタ州弁護士のリン・ウッド氏ら支持者とともに、ジョージア州の大統領選挙の結果に対して公然と異議を唱えた。だが同州の州知事や選挙を監督する州務長官などの公職者(いずれも共和党)は、バイデン氏の勝利を認定した。共和党が上院において52対48で多数派を維持するには、ジョージア州の2議席を死守する必要があるが、選挙のプロセスが損なわれれば共和党支持者が1月の決選投票で投票しなくなる恐れがあるため、トランプ氏が訴えを起こした大統領選の投票結果について認定せざるを得なかったのだ。 

トランプ大統領の熱狂的な支持者たちは、トランプ氏を勝たせるためならどんな犠牲でも払う覚悟を持っている。だが共和党の政治家たちはトランプ氏の個人的な野望よりも党の利益を重視しており、両者は基本的に緊張関係にある。そもそもトランプ氏は2016年大統領選以前から熱心な共和党支持者ではなく、今回の大統領選が終わってからは、自身を支持しない共和党員を選出することに対して疑問を表明している[6]。前出のウッド弁護士は12月2日の記者会見で「民主党でも共和党でもない、『人民のための党』が必要なのかもしれない」と踏み込んだ[7]。 

実際、トランプ氏を支持するポピュリストたちが共和党を離れて独自の政党を立ち上げる可能性は十分にある。新党を設立すれば、トランプ氏は党員から絶対的な支持が得られるうえ、信頼できる仲間とともに党の資金集めや支出などをコントロールすることが可能になるからだ。ただし新党結成によって共和党は間違いなく分裂する。そうなった時に、共和党員としてトランプを支持し、党に貢献してきた大口献金者が、共和党でなく第三党を支持するかどうかについては、よく考える必要があるだろう。 

勝算はあるのか? 

トランプ氏の選択肢を評価するにあたって重要なのは、2024年大統領選への再出馬の表明と、大統領選を戦い勝利するというトランプ氏の決意とを明確に区別して考える、ということだ。無論、4年後の選挙を面白くするために、共和党の指名を受けようと奔走したり、共和党をのみ込むか敗北に追いやる新党を結成したり、民主党の大統領候補と戦ったりする必要がないことは言うまでもない。だが何より、選挙で戦うという決意は、再出馬を表明する時点だけではなく、4年間ずっと持ち続けなければならないものだ。2016年大統領選では、おそらくトランプ氏自身も選挙に勝ち、大統領になるとは思っていなかっただろう。しかしチャンスが広がるにつれて、勝利への決意は強まっていった。そう考えれば、2024年に向けた決意も今後4年間でアップダウンを繰り返すだろう。そして戦っている限りは、いくらでも敗北した時の言い訳を見つけられるのだ。 

去りゆく大統領がどんな決意をしようと、多くの共和党支持者は変わらずトランプ氏を支持し続けるだろう。11月中旬の世論調査によると、共和党支持者の半数以上が選挙で「正当に勝利した」のはトランプ氏だと回答[8]。回答者全体でも28%が選挙結果は「違法または不正」だと答えた。二大政党制の米国において、28%の支持では大統領選挙で勝利することはできない。だが政治的な影響力を行使するには十分すぎる数字だ。

 

 オリジナル原稿(英文)はこちら


[1] https://www.politico.com/news/2020/12/02/republicans-cheer-on-a-trump-2024-run-442310

[2] https://www.wsj.com/articles/trumps-businesses-face-debt-deadlines-amid-economic-slowdown-11602252225

[3] https://www.axios.com/trump-fox-news-digital-media-competitor-25afddee-144d-4820-8ed4-9eb0ffa42420.html

[4] https://www.washingtonpost.com/politics/trump-fundraising/2020/12/03/3aa1091a-35b6-11eb-8d38-6aea1adb3839_story.html

[5] https://www.washingtonpost.com/politics/trump-raises-more-than-150-million-appealing-to-false-election-claims/2020/11/30/82e922e6-3347-11eb-afe6-e4dbee9689f8_story.html

[6] https://www.washingtonpost.com/politics/2020/12/04/trump-gop-try-put-monster-they-created-back-cage/

[7] https://twitter.com/willsommer/status/1334224566063869953

[8] https://www.reuters.com/article/us-usa-election-poll/half-of-republicans-say-biden-won-because-of-a-rigged-election-reuters-ipsos-poll-idUSKBN27Y1AJ

 

ポール・J・ サンダース

  • Senior Fellow in US Foreign Policy at the Center for the National Interest

    President, Energy Innovation Reform Project