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【人材育成】すべての人が豊かさを享受できる世界を目指して——UCサンディエゴ出身のヤングリーダー、ジャスティン・レスニアックの軌跡

【人材育成】すべての人が豊かさを享受できる世界を目指して——UCサンディエゴ出身のヤングリーダー、ジャスティン・レスニアックの軌跡

June 20, 2025

ヤングリーダー奨学基金プログラムは1987年に設立され、将来の世界を担うリーダーの育成を目指し、人文社会科学分野の大学院生を対象として、世界44か国・69の著名な大学で奨学金を給付している。これまでに17,000名を超える奨学生(Sylffフェロー)を輩出してきた。

東京財団が展開するヤングリーダー奨学基金プログラムSylff Association)のフェロー(受給者)であるジャスティン・レスニアック氏が、アジア各国を巡る2カ月間の旅の締めくくりとして、49日に当財団を訪問した。
レスニアック氏は2017年から2019年にかけてカリフォルニア大学サンディエゴ校(UC San Diegoに在籍中、Sylff fellowshipを受給。その後、国際通貨基金(IMF)にて4年間、リサーチアナリストとして勤務し、ホンジュラスおよびエルサルバドルへの支援業務に従事。世界経済見通し(World Economic Outlook)データベースにおける統計の整合性確保にも貢献した。

「なぜ他の国もアメリカのようになれないのか?」原点は少年時代の問い

国際開発への関心は、ロサンゼルスで過ごした少年時代に芽生えたという。「小学校5年生でアメリカの歴史を習い始めたとき、アメリカはすばらしい国だと教わりました。でも、なぜ他の国、特に小さな国々はそうなれないのか?この疑問がずっと心に残っていたんです。経済の仕組みを知りたい、政治を人々のためにどう改善できるのかを理解したいと思うようになりました。経済や政治・政策は人々の生活と密着につながっていると感じたのです」

大学時代には、交換留学生として半年間滞在したチリでの経験が、ラテンアメリカへの関心をさらに深める契機となった。「当時のチリは自由市場経済の象徴のような国でした。1973年の軍事クーデターでピノチェトが政権を掌握し、シカゴ学派の経済学者たちの助言を受けて自由市場改革を進めました。民営化が進み、国内経済は目覚ましい発展を遂げましたが、貧富の格差が拡大し、政治的弾圧も強まり、多くの人が行方不明になりました。それでも、1990年に選挙で敗北したピノチェトが政権を退いたのは、独裁政権としては極めて稀なケースです」

その後、世界銀行のラテンアメリカ・カリブ海地域担当チーフエコノミスト室でコンサルタントとして勤務。2019年にはUCサンディエゴのグローバル政策・戦略大学院にて国際関係の修士号を取得した。

政治と現実のはざまで

IMF退職後は、米国政府機関での勤務を志望していたが、当時のトランプ政権下での人員削減の影響を受け、その道は閉ざされた。

USAID(米国国際開発庁)との面接を受けたのですが、そのわずか2日後に閉鎖が決まってしまったんです。今となっては、あのとき採用されなくてよかったと思っています。雇われたその日に解雇されるような状況でしたから。2024年の大統領選後は、ワシントンDCでの就職も厳しくなるだろうと思い、それなら今のうちに旅に出ようと考えました」とアジア歴訪の理由を語った。

結果的に、その判断は正解だったと、レスニアック氏は振り返る。「いまのトランプ政権では貧しい人々への救済措置がどんどん削られています。関税などの政策に一貫性がなくて、これでは企業が正しい投資判断ができません。この方向は確かに間違っていると思いますが、さらにみっともないのは、民主党側があまりにもイデオロギーに固執していて、庶民が求めているものから背を向けてしまっていることです。その点ではトランプの方がうまく人々の関心を引き付けている印象です。個人的にはバーニー・サンダースの主張に強く共感しています」

初めてアジアを訪れたレスニアック氏は、台湾、ベトナム、カンボジア、タイを巡り、友人を訪ねながら各国の多様性に驚かされたと語る。「どの国も本当に個性的で、視野が広がる旅でした。次の仕事はまだ決まっていませんが、再び国際開発の分野に戻るか、現地でのフィールドワークのような、より実践的な取り組みをしてみたいとも思っています」

「理論」よりも「現場」へ

Sylff Asscociation事務局メンバーと歓談するレスニアック氏

将来的にアカデミアに戻る可能性については否定的である。「経済学の博士課程への進学も考えましたが、私はどちらかというと、理論モデルを扱うより、現実社会で実際に人々の生活に影響を与えるような『リアルな仕事』のほうに魅力を感じています」
現在は、気候変動が季節ごとの貿易パターンや農作物の生産地域にどのような影響を及ぼすのかに関心を寄せている。「これは知的好奇心によるテーマですが、同時に個人的な都合も大きく影響しています。だって、コーヒーが好きだし、飲めなくなるのは困りますからね!」

Sylff Association公式ウェブサイトのオリジナル記事(英語)はこちら

Sylff@Tokyo: UC San Diego Fellow Committed to Advancing Economic Betterment for All

ヤングリーダー奨学基金プログラムSylff Association)の詳細はこちら

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