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【人材育成】民主化後英国で学び、国際知財法務の第一人者に——チェコの弁護士ミハル・ハヴリーク氏

【人材育成】民主化後英国で学び、国際知財法務の第一人者に——チェコの弁護士ミハル・ハヴリーク氏

March 5, 2026

ヤングリーダー奨学基金プログラムは、日本財団が1987年に将来の世界を担うリーダーの育成を目指して立ち上げ、1997年からは東京財団が運営を行っている、世界の大学の人文社会科学分野の大学院生を対象に奨学金を給付する奨学制度。日本を含む世界44か国の69大学・大学連合に各々100万米ドルの基金を寄贈し、17,000名 を超える奨学生(Sylffフェロー)を輩出してきた。Sylffフェローは卒業後、外相や中央銀行総裁などを務めたり、学術研究、ビジネス、非営利セクターなど様々な分野の第一線で活躍している

チェコの知的所有権法分野で活躍する弁護士ミハル・ハヴリークは、民主化後のチェコ法曹界において国際経験を背景に成長した知財専門家の第一人者であり、同分野を代表する実務家である。法律事務所のパートナーとして、商標、著作権、特許、ブランド保護、模倣品対策、不正競争など知的財産権案件を手がけ、チェコ国内外の企業を代理してきた。

カレル大学法学部で法学教育を受けた後、2001年にSylff奨学金を得て英国カーディフ大学ロースクールに留学した。共産主義体制崩壊後のチェコでは、西欧の法体系や国際法実務を体系的に学んだ法曹は少なく、比較的早い時期に英国でEU知財制度や英米法的思考に触れた。「カーディフ大学で知的財産法を学んだことが私を形作った。Sylffに感謝している」と振り返る。チェコの法制度のみを学んだ弁護士と比べて国際的クライアントのニーズを深く理解する助けとなり、現在の実務の基盤となっている。

学術面でも、「欧州商標およびEU拡大を通じた商標の属地主義の克服」をテーマとする博士論文を完成させ、欧州知財制度の発展を扱う専門的研究として評価されている。

国民的キャラクターがクライアント

帰国後は知的所有権分野に専門性を集中させ、ブランド保護や模倣品対策の分野で実績を積み重ねてきた。主要なクライアントには、チェコのトラックメーカーであるタトラ・トラックスや、チェコの国民的アニメキャラクター「もぐらのクルテク」の相続人で著作権者の一人であるバルボラ・ミレロヴァ氏がいる。

ドメイン名紛争の国際的解決も

特筆すべき案件として2017年に提起されたスロバキア初のドメイン名紛争で、ファッション誌『VOGUE』側を代理して勝訴した。世界知的所有権機関(WIPO)仲裁調停センターにおけるUDRP手続(統一ドメイン名紛争処理方針)でパネリスト(仲裁人)を務めるなど、国際的な知財紛争解決の分野でも活動している。現在はAIPPI(国際知的財産保護協会)チェコ国内グループ会長を務める。同グループは知的財産保護のための最も歴史ある国際組織のチェコ支部。日本グループが2025年に横浜で開催したAIPPI世界会議にも参加した。チェコの知的所有権分野におけるトップクラスの弁護士と見なされている。

自転車で東京新潟京都を巡る

Sylffフェローとしての経験を通じて日本への関心を深め、AIPPI世界会議に参加した昨年9月は自転車で東京から長野、新潟を経て京都まで旅をし、各地の温泉につかり、日本食を堪能した。日本社会や文化への理解を深め、国境を越えて活動する法曹としての視野を広げる機会となった。現在も特許や商標案件を通じて日本の特許事務所や自動車、化学、電気通信事業など数多くの日本企業の代理を務め、欧州と日本を結ぶ現場で活動している。

Sylffは、社会の指導的役割を担う若い専門家を育成する国際奨学金プログラムであり、異なる国や分野のフェロー同士の交流を重視する。ハヴリーク弁護士にとって、英国での学びと国際的な人的ネットワークは、民主化後のチェコにおいて西側の法制度と知財実務をいち早く吸収する契機となった。国際知財実務の第一線で活動する現在の姿は、Sylffが育んだ国際志向の法曹像を体現していると言えるだろう。

17年間、マツダ・ロードスターを愛用

2009年式マツダ・ロードスター(MX‑5 NC)に17年間乗り続け、最近では日本生まれの指揮者ユージン・ツィガーヌが指揮するプラハ・フィルハーモニアの演奏会に足を運び、音楽を通じた文化的なつながりを楽しんだ。クロスカントリースキーを愛するスポーツマンでもある。(文責:岡部伸)

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