【人材育成】自由勝ち取った東独で反移民政党台頭<岡部伸の世界探訪ドイツ③> | 研究プログラム | 東京財団

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【人材育成】自由勝ち取った東独で反移民政党台頭<岡部伸の世界探訪ドイツ③>
シュタージ博物館で公開された簡素な執務室(著者撮影)

【人材育成】自由勝ち取った東独で反移民政党台頭<岡部伸の世界探訪ドイツ③>

May 18, 2026

ヤングリーダー奨学基金プログラムは、日本財団が1987年に将来の世界を担うリーダーの育成を目指して立ち上げ、1997年からは東京財団が運営を行っている、世界の大学の人文社会科学分野の大学院生を対象に奨学金を給付する奨学制度。日本を含む世界44か国の69大学・大学連合に各々100万米ドルの基金を寄贈し、17,000名を超える奨学生(Sylff「シルフ」フェロー)を輩出してきた。Sylffフェローは卒業後、外相や中央銀行総裁などを務めたり、学術研究、ビジネス、非営利セクターなど様々な分野の第一線で活躍している。

 ※ライプチヒ大学のSylffフェローについては「『音楽の都』で育つ民主化の指導者たち」をご覧ください。

「われわれこそが国民だ」というスローガンは本来、民主主義の原点を示すものだった。しかし現在、反移民を掲げる右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、この標語を掲げて旧東ドイツでの党勢を拡大している。20252月の総選挙では、AfDは東部すべての州で第1位になり、第2党へ躍進した。

東独ラストベルトのルサンチマン

統一から35年を経ても、旧東ドイツの一人あたりGDPは旧西ドイツの約7割に留まる。大企業は西側に集中し、「自分たちは取り残された」という意識は根強い。

2015年の難民危機では、政府が難民に住居や生活費を支給する一方で、自分たちは恩恵を受けられなかったというルサンチマン(恨み)が噴き出した。かつて繁栄した工場が閉鎖され、若者が流出した東部には、米国の中西部のような「ラストベルト(さびついた工業地帯)」が出現している。

取り残された「二等市民」ソ連に郷愁

資本主義に適応できない中高年層は「二等市民」として扱われてきた被害者意識を募らせている。そのため、格差のなかった社会主義時代の「平等社会」や、かつての後ろ盾だったソ連に郷愁を感じる親ロシア感情が東部に残っている。

神通力失ったドイツ経済

AfD台頭の背景には、長期化する経済低迷もある。ロシア産天然ガスという安価なエネルギーを基盤とした成長モデルは、ウクライナ侵攻後の対露制裁で崩壊した。

また、脱原発政策による電力価格上昇や、最大の市場であった中国メーカーの台頭(特にEV分野)が、ドイツの基幹産業を苦境に陥らせている。旧国家保安省記念館のホリッツァー館長は「民主主義とは意見を交わすことだ」と語る。平和革命の記憶は、対話によって社会を変えるという原点を、いま改めて問いかけている。(文責:岡部伸)

 

▼<岡部伸の世界探訪ドイツ①、②>はこちら

【人材育成】「音楽の都」で育つ民主化の指導者たち——ライプチヒ大学Sylffフェロー <岡部伸の世界探訪ドイツ①>

【人材育成】冷戦終結導いた「月曜デモ」<岡部伸の世界探訪ドイツ②>

Sylff Association公式ウェブサイト(英語)はこちら

ヤングリーダー奨学基金プログラムSylff Association)の詳細はこちら

    • ヤングリーダー奨学基金プログラム / Sylff
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