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【論考】ニュースは誰の声を届けているのか ― BBC 50:50 プロジェクトから考えるメディアとジェンダー
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【論考】ニュースは誰の声を届けているのか ― BBC 50:50 プロジェクトから考えるメディアとジェンダー

September 8, 2026

1 始まりは、ひとつの番組
2 数えるのは「制作側が選べる人」だけ
3 なぜ現場は動いたのか
4 スポーツ・音楽・子ども番組への広がり
5 教室で数えてみる

1 始まりは、ひとつの番組

ニュース番組や討論番組を見ていて、ふと「画面に男性が多いな」と感じたことはないでしょうか。政治、経済、安全保障、科学技術など、社会の重要なテーマを解説する場面で、専門家やコメンテーターが男性中心になることがあります。

英語圏では、男性ばかりが登壇する会議は「マネル(manel)」と呼ばれます。男性を意味する “man” と、討論の場を意味する “panel” を組み合わせた造語です。この言葉があること自体、メディアや会議の場で「語る人」が男性に集中しがちだという問題意識が示されています。

実際、国際調査「グローバル・メディア・モニタリング・プロジェクト(GMMP)」によると、世界のニュース報道に登場する女性の割合は 26%にとどまります。日本でも、夜の報道番組における人物の男女比は7対3という調査データがあります。さらに、政治家や研究者、医師などについては、実社会の女性割合と比べても、ニュースに登場する女性は少ないことが明らかになっています。テレビが映し出す世界は、現実の社会以上に男性に偏っているのです。

こうした状況を受け、日本民間放送連盟(民放連)は 2026 年6月、民放各局に番組表現の点検と議論を求める提言を出しました。ニュースに登場する専門家や街頭インタビューの顔ぶれについても、番組ごとに留意したいとしています。テレビ番組に登場する人々のジェンダーバランスや多様性の改善は、いまや日本の放送業界全体が取り組むべき課題となっています。

画面上の男女比に差があるといっても、番組制作者の側に、決して悪意があるわけではありません。報道の現場で、締め切りに追われながら、「いま最も早く連絡が取れる人」「いつも信頼している専門家」「このテーマならこの人」という、実務上の自然で合理的な選択を重ねています。そもそも女性の専門家が少ない分野もあります。制作者に悪気がなく、自然な選択が積み重なると、ニュースが社会に届ける声が思いのほか偏ってしまう、こうした状況なのです。

では、どうしたら現場の意識や行動を変えられるのでしょうか。この難問に対して、すでに世界的な成果を上げ、日本のメディアや教育現場にもヒントを与えている画期的な手法があります。英国の公共放送BBC が始め、世界 30 か国に広がった「50 : 50( フィフティ・フィフティ)The Equality Project(以下、50 : 50 プロジェクト)」です。

これは、番組に登場する人物の男女比を制作現場が自ら測定し、女性比率を 50%に近づけようとする取り組みです。「50 : 50」という数字だけを聞くと、義務的で厳格な数値目標のように見えるかもしれませんが、そうではありません。現場で働く人の意思を尊重する柔軟な取り組みです。

出発点は、2016 年のある帰省の車中でした。 BBC のニュースキャスター、ロス・アトキンス氏は、家族に会うためイングランド南西部のコーンウォールに向かって車を走らせていました。高速道路を走りながら、BBC ラジオの有名なニュース番組を聴いていると、30 分が過ぎても、45 分が過ぎても、番組の終わりが近づいても、女性のゲストが1人も登場しませんでした。

アトキンス氏が強い違和感を覚えたのは、女性ゲストが1人もいなかったことだけではありません。

「もし同じ番組で、事実関係に誤りがあったり、インタビューが失敗したりすれば、放送後に大論を伴う振り返りがあったはずだ。では、女性が1人も出なかったことについては、なぜ問題にならないのか。そもそも編集者も、そのことに気づいてすらいないのではないか」。

彼はそう考えました。ここに、50 : 50 プロジェクトの原点があります。

彼自身、この問題を突然思いついたわけではありませんでした。ケンブリッジ大学で歴史学の教授から、「ある時代を本当に理解するには、多様な人々の社会的経験を、多様な視点から見なければならない」と教わった経験がありました。BBC に入局後も、出演者の男女比の偏りを編集長にメールで指摘したことがありました。しかしその時は、「君のその口調(トーン)は好ましくない」と一蹴されていました。

この経験から、彼は学びます。「問題をただ外から批判するだけでは、現場は動かない。人を巻き込むには、言葉の使い方、進め方、そして相手が納得して続けられる仕組みが必要なのだ」と。

その後、2016 年末に、米国スタンフォード大学で1週間のリーダーシップ・プログラムに参加し、組織文化を変革するためにデータを活用するシリコンバレーの手法に感銘を受けます。しかし当時、 BBC の番組における女性の登場頻度について、体系的なデータはほとんど存在しませんでした。

「確かな数字がなければ、メディアのジェンダー平等について、誰でも好き勝手なことを言えてしまう」。彼はサンフランシスコからの帰りの機内で、のちに 50 : 50 プロジェクトとなるアイデアの骨格を練りました。その際、報道現場の同僚が「やらない理由(ノーと言う理由)」として挙げそうなことを、思いつく限り書き出しました。

「忙しすぎる」「仕事が増える」「これはクオータ(割当制)ではないのか」「ニュースの質が下がるのではないか」

ジャーナリストは忙しく、新たな負担が増える取り組みには懐疑的です。だからこそ彼は、相手が断る理由を先回りして考え、それを一つ一つ取り除くための仕組みを考え始めました。

 数えるのは「制作側が選べる人」だけ

2017 年1月、アトキンス氏は自身の番組『アウトサイド・ソース(Outside Source)』で試験的にデータを取り始めました。やったことは、とても単純です。スタジオやVTR を含め、番組に登場した女性と男性の人数を数え、放送後に集計し、月ごとに比率を見る。それだけです。

50 : 50 プロジェクトには、以下の3つの基本原則があります。

まず重要なのは、「何を数えるか」でした。

報道には、どうしてもその人を取り上げなければならない場面があります。首相が演説をしたのであれば首相を報じ、爆発事件の唯一の目撃者が男性であればその人の証言を伝えます。事件の当事者、政治家など、その人でなければ報じられない人物は対象から除外し、あくまで「制作する側の裁量で選べる人」だけを測定することにしました。たとえば、スタジオに呼ぶ専門家、ニュースの解説者、あるテーマについてコメントをする研究者、企画の主人公、街頭インタビューに登場する人。これらは、制作側の人選に選択の余地があり、偏りがあるなら、別の候補を探すことができます。

この考え方は、極めて実務的でした。制作者に「全部を変えなさい」と無理を求めるのではなく、「自分たちがコントロールできる領域から見直しましょう」と呼びかけたからです。編集の自由やニュース価値を無視して数字だけを合わせるのではなく、編集判断のなかにある選択可能な部分を見えるようにする。アトキンス氏自身がベテランのジャーナリストであり、報道現場の人間が作った仕組みだからこその納得感がありました。

もうひとつの重要な原則は、「質は決して妥協しない」ことです。50 : 50 プロジェクトは、あらかじめ比率を義務づけるクオータ制(割当制)ではなく、男性専門家を番組から排除するための仕組みでもありません。これまで無意識に見落として

きた女性専門家を見つけ、新しい声を探すための取り組みです。番組にとって最適な人が男性であれば、その男性に出演してもらう。その方針は変えません。問題は、最良のゲストとして思い浮かぶ候補の範囲が、制作者の決めつけや思い込みによって、狭くなっていないかということでした。

『アウトサイド・ソース』の女性出演者比率は、測定を始めた最初の月には 39%でした。番組スタッフは「自分たちはそれなりにできている」と思っていたため、認識と実際の数字とのギャップに驚きました。同時に、改善しようという動機も芽生えたのです。

しかも、数える作業は大がかりなものではありませんでした。番組に登場した人を1人1回カウントするだけ。発言時間までは測りません。作業にかかる時間は1日わずか2分未満で、既存の Excel シートに記入するだけの手軽さでした。忙しい報道現場で続けるには、細部の精密さを追求して負担を増やすより、無理なく続けられるシンプルな手法が重視されたのです。

3 なぜ現場は動いたのか

50 : 50 プロジェクトが BBC の多くの現場に受け入れられた背景に何があったのでしょうか。2017年、BBC は男女の賃金格差が問題となり、組織改革を迫られていました。しかし、それだけではありません。メディアの存在意義に関わる、ジャーナリストの危機感があったのです。

BBC本社のニュースルーム(2026年3月、ロンドン、筆者撮影)
BBC本社のニュースルーム(2026年3月、ロンドン、筆者撮影)

プロジェクトをアトキンス氏とともに主導したニーナ・ゴスワミ氏は、筆者のインタビューで、 BBC のジャーナリストにとって転換点となった2つの出来事を挙げました。

ひとつは、2016 年に実施された英国の EU 離脱を問う国民投票(ブレグジット)でした。ゴスワミ氏は、BBC を含む多くの主要メディアが国民投票の予測を見誤った背景に、視点の欠如があったと指摘します。ロンドンのニュースルームにいるジャーナリストたちは、EU 離脱を強く支持していたイングランド北部の人々の声を、日常的に十分に聞けていなかったのです。

さらに決定的だったのが、2017 年に起きたロンドンの高層公営住宅グレンフェルタワーで起きた火災でした。72 人が亡くなったこの火災では、低所得層が多かった住民が何年も前から建物の安全性に懸念を訴えていたにもかかわらず、メディアが十分に取り上げてこなかったことが浮き彫りになりました。しかも、グレンフェルタワーは、 BBC の建物から目視できる距離にあったのです。

「目と鼻の先にありながら、どうして私たちは彼らのSOS に気づけなかったのか」。

ゴスワミ氏は、これらの出来事が BBC のジャーナリストを内側から激しく揺さぶったと語りました。自分たちは、見たいもの、見慣れたものだけを見て、社会の一部の声を見落としているのではないか。50 : 50 プロジェクトは、ジャーナリスト自身がそう問い直し、社会の姿を正確に映し出そうとする実践でもありました。『アウトサイド・ソース』で始まった取り組みは、こうした問題意識とともに各番組へ口コミで伝わり、草の根的に広がっていきました。

客観的なデータを得たことで、放送後の振り返り(反省会)の風景も変わりました。外部から指摘されたことではなく、自分たちで数えた数字だからこそ、現場の制作者は結果を素直に受け止められるという利点もありました。「今日はなぜ女性が少なかったのか」「次に同じテーマを扱うなら、ほかにどんな候補者がいるか」といった、前向きな会話が日常的に生まれるようになったのです。

最初は仕事量を心配していたプロデューサーも、次第にこの挑戦を自分たちのものとして引き受けていきました。計測結果を記入するシートを工夫し、どうすれば無理なく続けられるかを考え、現場に合う形に作り替えていったのです。その過程で、計測は義務や負担ではなく、「番組が昨日より少し良くなった」と実感する機会に変わっていきました。

制作上の具体的な壁も浮き彫りになりました。夜の報道番組の編集者ジョナサン・イェルシャルミー氏は、「男性の中東専門家なら1分で見つけられるのに、女性専門家を探すには何時間もかかることがあった」と述べています。女性の専門家が存在しないという意味ではなく、出演歴のある男性専門家の名前や連絡先ばかりが蓄積されて、更新できていなかったという気づきでした。

そこで番組スタッフは、出演交渉の手順を変えました。たとえば、報道番組は時間との闘いなので、夜の番組に間に合わせるためには、午後遅くに専門家を探し始めると、すぐ返事が来る人、いつもお願いする人が優先されます。女性専門家のなかには、家庭の事情から夕方の急な依頼には応じにくい人もおり、結果的に選ばれにくくなっていました。そのため、出演依頼を夕方から朝の時間帯へと前倒ししたのです。

さらに他番組と協力し、女性専門家をリストアップした共通のデータベースも作りました。放送後の振り返りでそのデータを共有し、次に中東情勢や経済・外交を扱うときに、すぐに女性の名前も浮かぶようにしておきました。

地味な作業に見えるかもしれませんが、報道現場にとっては決定的な変化を生みました。ニュースの出演者の偏りは、放送直前に突然起きるのではなく、もっと前の段階、取材先を探す仕組みのなかで生まれているからです。

結果として、取り組みの出発点となった『アウトサイド・ソース』の女性出演者比率は、3か月後には 39%から 51%に達し、翌月も 50%を維持しました。番組制作者は、誰の声をニュースに入れるのかを仕事の一部として考えるようになりました。


ニーナ・ゴスワミ氏(2026年3月、ロンドン、筆者撮影)

4 スポーツ・音楽・子ども番組への広がり

2017 年にひとつの番組から始まった 50 : 50 プロジェクトは、2022 年にはBBC 内の 750 チームへと広がり、幅広いジャンルで実践されました。

たとえば、国際放送部門であるワールドサービスは約 40 言語で放送され、文化や地域によっては女性の出演者を増やしにくいのではないかという懸念がありました。しかし、数えてみると変化が現れ、アラビア語のニュース番組では、女性比率が 18%だったのが 50%にまで伸びました。この番組の責任者が、「私たちは何年も『出演してもらえる女性専門家はいない』と自分たちに言い聞かせてきたが、ただ探していなかっただけなのだ」と語っていたことを、アトキンス氏が講演で紹介しています。「できない」と思い込んでいた現場でも、実は可能だったことを示す、50 : 50 プロジェクトの象徴的な出来事となりました。

男性中心になりがちなスポーツ分野でも変化が起きました。『スポーツ TV ニュース(Sport TV News)』では当初、登場人物の 85%が男性で、女性は 15%でした。担当者は、女性ジャーナリストや女性ゲストを世界中から探し、女性スポーツをより多く取り上げるよう、番組の作り方を見直していきました。スポーツ分野らしい競争心が刺激され、皆が良い数字を目指したと言います。担当者は、よりクリエイティブで、視聴者をより反映した番組になったと述べています。

ジャンルが広がるなかで、「何を数えるか」はチームごとに柔軟に再定義されました。たとえば音楽の分野では、BBCに所属するプロの合唱団『BBC シンガーズ(Singers)』が、演奏する曲の作曲家の男女比を数えたのです。年間プログラムの半分を女性作曲家の作品で構成することを目指し、実際に達成しました。BBC のオーケストラでも、女性指揮者の起用や女性作曲家の作品を増やす取り組みが進められました。

さらに、子ども向けニュース番組『ニュースラウンド(Newsround)』も参加し、番組責任者は、「子どもたちが、自分たちが見るニュースのなかに自分自身を見出せないなら、いったいどこで見出せるのか」という問題意識を掲げました。ニュースに誰が登場しているかによって、子どもたちは、社会のなかでどのような人が発信し、活躍しているのかを見ています。女性や女児が十分に登場しなければ、社会を語る主体としての自分を想像しにくくなるかもしれません。番組は制作者自身にバイアスがないかを点検し、2022 年には女性・女児の割合が 56%にまで高まりました。

  教室で数えてみる

50 : 50 プロジェクトには、2022 年時点で世界 30か国、145 の外部組織が参加しました。メディアだけでなく、金融機関や法律事務所などにも取り入れられました。ここまで見てきた事例から、その成功要因は主に5つに整理できます。

まず、忙しい現場でも続けられるほど仕組みがシンプルで柔軟だったこと。次に、外部から評価されるのではなく、現場が自分たちで数え、偏りに気づいたこと。さらに、参加を強制せず、現場の自律性を尊重したこと。「質は決して妥協しない」という原則を貫いたこと。そして、測定結果や成功例を共有することで、次の参加者を呼び込んだことです。

日本でも、2021 年からハフポスト日本版とNHK が外部組織として参加しました。NHK では、当初の6番組から段階的に広がり、筆者の調査では、2026 年5月時点で 17 番組が参加し、カウントを始めたことで女性専門家を新たに探す動きや、映像表現や言葉遣いを見直す変化も生まれました。

さまざまな組織に導入された 50 : 50 の手法は、次世代を育てる教育の現場でも実践されています。日本の高校での活用を考えるうえで参考になるのが、英国のノッティンガム・トレント大学の事例です。同大学のジャーナリズム課程では、将来記者を目指す学生が、実際のニュース制作を通じてこの手法を試しました。

最初の週、学生はジェンダーバランスを特に意識せず、普段通りに取材相手や記事のテーマを選びました。その結果、制作した記事全体に登場した女性は 29%にとどまりました。次の週には、男女を等しく登場させることを意識して取材先を探しました。特に難しかったスポーツ欄では、地域の女性スポーツチームに焦点を当てたトップ記事を作りました。女性の取材相手に断られた場合にも、別の女性候補を探しました。こうして実践演習の最終日には、女性の登場率は 49%となりました。変化したのは比率だけではありません。女子学生が執筆したオピニオン欄の記事では、人種、摂食障害、メンタルヘルス、女性アスリートといったテーマが取り上げられました。ニュースの内容がより豊かになったのです。記事は多くの読者の関心を呼び、ジャーナリストを目指す女子学生がさらに取材に取り組もうとする自信にもつながりました。

こうした手法は、日本の高校の授業にも応用できます。たとえば、探究学習やニュースを扱う授業で、生徒がインターネットや新聞から情報を集め、レポートにまとめたり、発表したりしたとします。完成後、こんな問いを立ててみてはいかがでしょうか。

「この発表に登場した専門家や情報源は、何人が女性で、何人が男性でしたか」。

最初は「そんなこと考えたことがなかった」という反応が返ってくるかもしれません。しかし、実際に数えてみると、引用した専門家や情報源が男性中心であることに気づく場合があります。それは、検索結果の上位に並ぶ顔ぶれ、あるいはよく引用されてきた専門家の男女バランスが、もともと取れていなかったためかもしれません。

数字として見えるようにすることで、「ほかの専門家も探してみよう」「異なる立場の人の意見も確かめてみよう」という発想が生まれます。情報がどのように選ばれ、そこに誰の視点が強く反映されているのか、反対にどのような声が欠けているのかを考える。これは、情報をそのまま受け取るのではなく、批判的に読み解くメディアリテラシーの実践です。

学校行事や生徒会活動を題材にすることもできます。文化祭のパンフレット、学校案内の写真、講演会の講師の顔ぶれなどを振り返り、「どんな役割で、誰が登場しているのか」を調べるのです。過去 10 年間のパンフレットの表紙を並べるだけでも、「私たちが無意識に描いてきた学校の姿は、どのようなものだったのか」を考える探究のテーマになります。

50 : 50 プロジェクトは、番組に出た人を手作業で数えるという、驚くほど地味な作業から始まりました。しかし、その地味な作業が、制作者の会話を変え、取材先の探し方を変え、番組が社会をどう映し出すかを変えていきました。

この取り組みが教えてくれるのは、多様性や公平さを、特別なこととして身構える必要はないということです。授業でも、生徒が情報を集め、何かを発表する過程で、そこに誰が登場しているかを自分で確かめる。それが、情報を扱うときの自然な手順になればと思います。

 

「じっきょう資料 地歴・公民科資料103号(2026年09月02日発行)」に掲載された論説を実教出版株式会社の了承を得て転載。

 

引用文献・参考文献
  1. 青木紀美子・小笠原晶子(2026)「メディアは社会の多様性を反映しているか調査報告(2024 年度)テレビ番組におけるダイバーシティー」『放送研究と調査』76(3),16-37
  1. 小西美穂(2025)「BBC 50 : 50 プロジェクトにみる報道現場のジェンダー改革 ―現場主導の組織変革はなぜ成功したのか」『総合政策研究』 71,89-101 
  1. 小西美穂(2026)「英国現地調査リポート BBC『50 : 50 プロジェクト』の現在地」『民放 online』(2026 年5月 13 日掲載)https://minpo.online/ article/bbc5050.html2026 年6月20日最終閲覧)
  1. 日本民間放送連盟(2026)「民放業界におけるジェンダー平等推進のための提言」https://j-ba. or.jp/news/jba108452.html2026 年6月12日最終閲覧)
  1. BBC 50 : 50 The Equality Project, https://www. bbc.com/5050/
  1. Global Media Monitoring Project (2025) Who Makes the News? Progress on a Plateau.
  1. Ros Atkins (2019) The 50 : 50 Project: increasing womenʼs representation in the BBCʼs journalism. Lecture at Reuters Institute for the Study of Journalism, Green Templeton College, Oxford, 6 November.
  1. Siri Chilazi, Aneeta Rattan, and Oriane Georgeac (2020) “Ros Atkins and the 50 : 50 Project at the BBC (A).” London Business School, CS-20-010.
  • 研究分野・主な関心領域
    ジャーナリズム研究/放送メディア研究/メディアとジェンダー/ジェンダーと政治
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