世の中には多くの職業がありますが、医師という職業は定年がなく長期にわたって働くことが可能です。しかし、この特殊な高度専門職を取り巻く労働環境は長年整備されておらず、学生運動をきっかけに大きく動くこととなりました。1990年代頃まで新人医師は無給に近い状態で働き、キャリア形成を含め医局や病院により支配され、2004年以降の各制度整備と待遇改善により、医師自身のキャリアデザインの自由度は高まりましたが、この「自由な」歴史は浅いのが現状です。このため多くの医師は自身のキャリアに関する悩みが常に存在しています。「生涯現役」が可能であると同時に、多様な課題に直面する現代の医師に向けて、改めて他の医師らはどのように自身のキャリアと向き合い、将来について考えたかを共有する場として、今回の対談シリーズを企画しました。
特に激動の時代に、様々な渦中で奮闘されてきた先輩方の経験から得られる学びは計り知れません。業界・職種を超えて多くの方が自身のキャリアを振り返り、未来を考えるための貴重な示唆となるでしょう。
今回第1回目として、公益財団法人結核予防会理事長の尾身茂先生をお招きし、幼少期から紆余曲折を経て医師となり、WHOでのポリオ根絶やSARS対策をはじめ、多くの国民の記憶にも残るCOVID-19に関するプロジェクトを担当されるまでの経緯や想いをインタビューさせて頂きました。
今回の対談が、医師に限らず今後を担う若い方や、生き方を見つめ直したい多くの方々へ、多様なキャリアデザインを考えるきっかけになれば幸いです。
当日の尾身氏と藤田主席研究員との対談の様子を、動画と関連リンクにてご紹介します。
参加者:尾身 茂(公益財団法人結核予防会理事長)
藤田 卓仙(公益財団法人東京財団主席研究員)
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【前編】
・得手に帆を挙げよ
・家族の中で
・高校時代のアメリカ留学
・子供心で見たケネディ大統領
・アメリカ留学後の影響
・影響を受けた小林秀雄氏
・昭和の東京オリンピックと「社会」
・慶應大学法学部での日々
【後編】
・自治医大での日々、影響をうけたもの
・臨床医からWHO勤務へ
・コロナの仕事を引き受けた理由
・「苦楽しい」こと
・メディアとの関係
・NPO法人について
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【参考】
・公益財団法人結核予防会
・私の履歴書
・「WHOをゆく 感染症との闘いを超えて」医学書院
※こちらは後日、一部記事を日経メディカルオンラインにて掲載予定です。
【過去の研究プログラムについて】