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消費税アーカイブ第2回 第二次小泉政権(後編)
写真提供:共同通信社 財政改革研究会会長を務めた与謝野馨政調会長(左)

消費税アーカイブ第2回 第二次小泉政権(後編)

November 2, 2020

【第二次小泉内閣】
前編:平成15年11月19日~12月31日
中編:平成16年1月1日~9月26日
後編:平成16年9月27日~平成17年9月21日

第二次小泉内閣

平成16年(2004年)9月27日~平成17年(2005年)9月21日

平成16年(2004年)9月27日に第2次小泉改造内閣が発足し、麻生太郎総務大臣、谷垣貞一財務大臣、竹中平蔵金融・経済財政政策担当大臣、党側は与謝野馨政調会長および津島雄二税制調査会会長(留任)となった。

第2次改造内閣後始めての経済財政諮問会議が10月5日に開かれた。注目点としては、民間議員を中心として「歳出・歳入一体改革」のワーキンググループをつくり、今後の歳出水準や必要な税制措置等について、政策の「選択肢」の検討を開始することが合意されたことがあげられる。

このころから、平成19年(2007年)から10年代初頭までに基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の黒字化を目指し、2010年代半ばに「債務残高の対GDP比」を減少させることを中期目標として掲げつつ、財政健全化は、歳出削減と増税による歳入増加という歳出・歳入両面から同時に進める、つまり増税の検討と同時に歳出削減の検討も開始されることとなった。このことから、今後「歳出・歳入一体改革」と呼ばれていく。

平成16年(2004年)11月26日、国と地方の財源を調整する三位一体改革が合意され、国から地方への3兆円規模の税源移譲が決まった。
平成16年(2004年)11月、政府税制調査会から平成17年度税制改正答申が公表された(88-KO-08-00)。

この答申には、「社会共通の費用を広く公平に分かち合う観点から、抜本的な税制改革について、平成18年度までを目途に結論を得るべく検討を進めていかねばならない。その一環として、消費税についても国民的な議論を進めていくべきであろう。…(中略)…全体としての税負担水準の引上げを図ることが必要となろう。個人所得課税の本来の機能を回復するとともに、消費税の税率を引き上げていくことが、今後の税体系構築の基本となる。」と明記された。

88-KO-08-00 平成17年度の税制改正に関する答申(抄). 平成16(2004)年11月.

引き続く12月15日の平成17年度与党税制改革大綱(88-KO-09-00)には、「新しい時代への税制改革の道筋」として、「今や、経済の成熟化と人口の長寿化の下では、直接課税(所得税+社会保険料)に大きく依存する国民負担のあり方では適切な対応が難しくなっている」こと、さらに「平成19年度を目途に、長寿・少子化社会における年金、医療、介護等の社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通し等を踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する」ことが明記された。

88-KO-09-00 平成17年度税制改正大綱(抄). 平成16年12月15日.

年が明け平成17年(2005年)、「構造改革と経済財政の中期展望-2004年度改定」の公表を控えた1月20日の経済財政諮問会議には、内閣府が作成した「基本ケース」と「非改革・停滞ケース」の2つの参考資料が説明され、デフレ脱却のためにはさらなる改革を目指す必要性が示された(88-KO-10-01)。

88-KO-10-01 内閣府.参考資料(平成17年1月20日 経済財政諮問会議提出). 平成17年(2005年)1月20日.

翌1月21日に閣議決定された中期展望では、「2007年度以降の財政収支改善努力に係る歳入・歳出を一体とした改革の検討に着手し、重点強化期間内(平成18年度末まで)にその結論を得る。包括的かつ抜本的な税制改革については、『基本方針 2004』に沿って、重点強化期間内を目途に結論を得る。社会保障制度全般の一体的見直しを進め、重点強化期間内を目途に結論を得る。」とされた(88-KO-11-00)。なお、参考資料は公表されなかった。

88-KO-11-00 改革と展望: 2004年度改定(抄). 平成17年(2005年)1月21日.

平成17年(2005年)6月21日「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(骨太の方針2005)(88-KO-12-00)では、歳出・歳入一体改革について重点強化期間内に結論を得ることが確認された。郵政民営化を政策のトッププライオリティーに掲げる小泉内閣の下で、税制改革議論は停滞していった。

88-KO-12-00 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005. 平成17(2005)年6月21日.

このころ、「財政規律派」には、政府部内の財政再建議論が歳出面に偏り、歳入面(増税)の議論が進まないという認識が生じつつあった。そこで平成17年(2005年)2月28日、与謝野馨政調会長の下で、非公式な研究会として「財政改革研究会」が立ち上がった。会長は与謝野政調会長、座長は柳澤伯夫氏であった。財政健全化や消費税の社会保障財源化に向けて、与謝野政調会長自らトップに立って議論を進めていくことになるのだが、以後「財政規律派」と「上げ潮派」との間で激しい議論が繰り広げられていく。

こうした中、9月11日には、第44回衆議院議員総選挙が行われ、与党が3分の2超の議席を確保することとなった。


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