対中国戦略研究ユニット
地政学的に中国と密接な関係にある日本は安全保障上アメリカに依存しているが、中国とどのような距離感をもって向き合ったらいいか、具体的な戦略の練り直しを求められている。そのうえ、米中貿易戦争によってグローバル・サプライチェーンが大きく変形する可能性がある。中国に工場を置き、最終市場はアメリカに依存する日本企業のグローバル戦略が問われている。本ユニットはグローバル・サプライチェーンの変化とそれに対応する日本企業の戦略について実証的に研究する。
「グローバル・サプライチェーンと日本企業の国際戦略」プロジェクト
グローバル・サプライチェーンを支えてきたのは経済のグローバル化である。米中貿易戦争によってグローバル・サプライチェーンが大きく変容する可能性があり、新しいグローバル・サプライチェーンがどのような形になるかを詳しく検証する。既存のサプライチェーンは、先進国で研究・開発、設計、デザインが行われ、生産加工が中国で行われている。中国は世界の工場の役割を果たしているが、潜在的な市場になりつつある。ただし、市場としての存在がアメリカに取って代わるほど十分に成長していない。
日本企業にとり中国をどのように捉えたらいいかが重要な戦略的課題となっている現状において、中国へ経営資源をこれ以上集約させるにはいくつかのリスクが浮上している。まず、少子高齢化の進展により、中国は人手不足に陥る可能性がある。次に、人件費の上昇により、中国での製造業の競争力が低下する。さらに、米中貿易戦争の警鐘として国際貿易のリスク分散が求められている。
本研究は、こうした変革期を迎えつつある中国を一つの極とするグローバル・サプライチェーンの現状と課題を明らかにし、日本企業のグローバル戦略について具体的に提言することにする。
プロジェクトリーダー:柯隆 東京財団政策研究所主席研究員