未来の水ビジョン(水に関する社会共通基盤(水みんフラ)を支える卓越人材の体系的な育成についての研究)
現在までの日本の安全な水の安定供給を支え、水の災禍を低減させているのは、上下水道、農業水利施設、治水施設などの構造物(いわゆるインフラ)、自然生態系や人為的な生態系、それらに関わる人や組織といった要素が組み合わさったシステム全体=水に関する社会共通基盤(水みんフラ)だ。しかし、人口減少、土地利用変化、財源不足、担い手不足、災害の頻発化などのため、持続可能な維持管理が困難になっている。
都市のみならず地方においても、地域に合った「水みんフラ」の再構築による、持続可能な維持管理、突発的な事故や災害への対応体制の整備が急務で、それには「水みんフラ」に関する総合知を習得した卓越人材(水みんフラ卓越人材)が不可欠だ。実際、地域でのリスク管理が不十分なため年間2 万件の水道事故が起こり、能登半島地震のような災害時には断水の長期化が避けられない。こうした実態が示す通り、自治体内のみならず地域と協働したリーダーシップを執る卓越人材が求められている。日本各地を見回すと、コミュニティでの水道の維持管理や、市民普請でグリーンインフラを整備するケースで、そうした卓越人材が地域社会を先導する場合が多い。
本研究ではこうした水みんフラ卓越人材がどのように育成され、彼らを中心とした組織がどのように生まれ、ノウハウがどのように共有されているかを調査研究・集約し、卓越した水みんフラ人材を体系的に育成する方策を提言する。
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