世界インフレ後の経済政策レジームに関する研究
1980年代から30年あまり、新自由主義が主要国の経済政策を支配するレジームだった。しかし、2010年代に入ると、世界金融危機の発生、格差拡大への批判、地球環境問題への関心の高まりなどを背景に新自由主義は没落し、新たな経済政策レジームを求める動きが拡がっていた。一時は実際にも、マクロ経済政策に重心を置く金融政策から財政政策への移行、脱炭素や国際租税に関する国際協力の実現など、新たな経済政策の枠組みが実現しつつあるかに思えた。
ところが2022年に入ると、予想外の形で世界的にインフレ率が高まり、主要国の多くでは金融引き締めによるインフレ抑制が喫緊の政策課題となった。長年デフレに悩まされてきた日本でさえ、足もとでは物価高を背景に金融政策の転換が議論されるようになってきた。
とは言え、現在の世界インフレは恐らく一時的な現象だと思われる。この世界インフレの抑制にある程度の目途が立てば、もう一度新たな経済政策レジームの探求が再開されるに違いない。本プログラムでは、幾つかのシナリオを想定しつつ、ポスト新自由主義の経済政策がどのような方向に向かうのかを考察する。
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