資源・エネルギー循環型社会の構築に必要な施策 ~制度、企業環境、人材の教育・育成における日欧比較からの考察~
カーボンニュートラルに向けて日本を含め世界では脱化石燃料を進めるエネルギー転換が加速しているが、カーボンニュートラルを達成し持続可能な社会を構築するためにはエネルギー転換のみならずサプライチェーン全体を脱炭素化する資源・エネルギーの循環型社会を構築していく必要がある。そのためにはサプライチェーンの上流となる原材料の調達と下流で発生する廃棄物処理における脱炭素化が欠かせず、欧州のカーボンニュートラル政策である欧州グリーンディールでは、エネルギー転換と、原材料と廃棄物処理における脱炭素化を進める資源循環政策としてのサーキュラーエコノミー(循環経済)への移行が、カーボンニュートラルに向けた政策の両輪として推進されている。
一方、日本ではエネルギー転換とサーキュラーエコノミーは別々のものとして扱われがちで、カーボンニュートラルに向けた資源・エネルギーの循環型社会を構築していく上では十分なものとはなっていない状況にある。
このままでは日本のカーボンニュートラル達成に向けて十分な効果が得られないことが懸念されるばかりか、資源・エネルギー循環型社会の構築に必要となる技術開発やそれに伴う産業化などで国際競争力を失う危険性がある。本研究では日本のカーボンニュートラルの達成と国際競争力の向上に向けて、日本が資源・エネルギーの循環型社会を構築していくために必要となる施策を提示する。