R-2022-058
かつてはマクロ安定化政策の主役は金融政策と考えられてきたが、世界金融危機以降は先進国全体が低成長、低インフレ、低金利という「日本化(Japanification)」に陥って金融政策の効力が低下する中、財政政策の活用を求める声が高まっていった。事実、一昨年のコロナ危機で、世界中で前例のない規模の財政出動が行なわれた。
しかし今や、欧米のインフレ率が40年振りの水準に達し、日本でも日銀の2%目標を超えるなど、世界の経済情勢は再度急変しつつある。米国FRBを先頭に主要国中央銀行は利上げを急いでいるが、インフレ抑制に成功するか否かは予断を許さない。一方、金融緩和姿勢を崩さない日銀は、急激な円安の進行に揺さぶられている。
各国がインフレ抑制に成功したとしても、その先に待つ課題は複雑である。米中対立などを背景に脱グローバル化が進むと考えれば、1970年代のスタグフレーションの再来というシナリオが浮かぶ一方、AI等の更なる進化の下で新たなグローバル化が進むと考えるなら、時代はもう一度「日本化」に戻るというシナリオもあり得る。
今回のパネル討論では、まず当面の内外金融政策について考えるとともに、成長戦略や税制などを含めたインフレ後のシナリオについても考察を行った。
開催概要
◆イベントタイトル:「激変する世界情勢とマクロ経済政策~過去・現在・未来~」
◆日時:2022年10月4日(火)14:30~16:00
◆実施形態:Zoomウェビナー
◆主催:公益財団法人東京財団政策研究所
◆登壇者
▼モデレーター兼コメンテーター
・早川 英男:東京財団政策研究所 主席研究員/ポスト・コロナ時代の経済政策レジームに関する研究プログラム研究代表
▼ゲストスピーカー
・加藤 出:東短リサーチ株式会社 代表取締役社長
・河野 龍太郎:BNPパリバ証券株式会社 経済調査本部長 チーフエコノミスト
◆ 本研究プログラムについて
東京財団政策研究所「ポスト・コロナ時代の経済政策レジームに関する研究」研究プログラム