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【動画公開】ウェビナー「知られざる水リスク─密かに進行する脅威─」
画像提供:関美穂子氏作成

【動画公開】ウェビナー「知られざる水リスク─密かに進行する脅威─」

February 24, 2023

R-2022-119

・第1部「豊かになった日本の水に忍び寄る脅威」
・第2部「持続可能な日本の水マネジメントに向けて」
・参加者の反応

【動画配信】(YouTubeページへ遷移します)

【開催要旨】

■テーマ:「知られざる水リスク─密かに進行する脅威─」
■開催日:2022年1214日(水)17-19
■方 法:オンライン・ライブ配信
■登壇者:(敬称略、順不同)
東京財団政策研究所「未来の水ビジョン」プログラム
沖大幹(東京財団政策研究所研究主幹/東京大学大学院工学系研究科教授)
橋本淳司(東京財団政策研究所研究主幹/水ジャーナリスト)
笹川みちる(東京財団政策研究所主席研究員/雨水市民の会)
中村晋一郎(東京財団政策研究所主席研究員/名古屋大学大学院工学研究科准教授)
<プログラムメンバー:未来の水ビジョンプログラム懇話会>
村上道夫(大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授)
徳永朋祥(東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)
武山絵美(愛媛大学大学院農学研究科教授)
黒川純一良(公益社団法人日本河川協会参与)
小熊久美子(東京大学大学院工学系研究科准教授)
坂本麻衣子(東京大学大学院新領域創成科学研究科准教授)

全編グラフィックレコーディング/関美穂子(アラワス)

【開催報告】

我が国は、これまでの先人たちの不断の努力によって、豊かな水の恵みを享受し、日常生活では水の災いを気にせずにいられるようになりました。しかし、近年、グローバルな気候変動による水害や干ばつの激化、高潮リスクの増大、食料需要の増加などが危惧されています。さらには、世界に先駆けて進む少子高齢化によって、森林の荒廃や耕作放棄地の増加、地方における地域コミュニティ衰退や長期的な税収減に伴う公的管理に必要な組織やリソースのひっ迫が顕在化しつつあります。

大きな課題は、こうした危機感が、政府や地方自治体、政治家、企業、市民といった関係する主体間で共有されているとは言い難いことです。

「未来の水ビジョン」プログラムは、次世代に対する責務として、水と地方創成、水と持続可能な開発といった広い文脈から懸念される課題を議論してきました。中間報告としてこれまでの成果を共有しつつ、縮小していく社会の中での新たな水マネジメントのあり方について議論を深めました。

第1部「豊かになった日本の水に忍び寄る脅威」

はじめに、沖大幹研究主幹が、2022年に世界各地で渇水、水害が発生したこと、国内では明治用水頭首工での漏水、静岡県での豪雨に起因する断水など示し、「日本の水リスクはインフラの維持管理と深く関わっている。人口減少下で持続可能なインフラマネジメントをいかに実現するかが大切」と現在や将来のリスクと議論の必要性を語りました。

1部は「豊かになった日本の水に忍び寄る脅威」(モデレーター・笹川みちる)がテーマで、「水道料金はどうなるのか」(村上道夫)、「なぜ水道インフラは更新されないのか」(橋本淳司)、「見えない地下水の光と影」(徳永朋祥)、「誰が農業水利施設を管理するのか」(武山絵美)という4つの話題提供が行われました。 

次に登壇者で議論を行いました。「私水とされるが公共性の高い地下水の担い手を改めて考えるべき」、「まちぐるみで上下水道、農業用水などのインフラ維持に向けての議論が必要」などの意見が出ました。

第2部「持続可能な日本の水マネジメントに向けて」

第2部は「持続可能な日本の水マネジメントに向けて」(モデレーター・沖大幹)がテーマで、「流域治水の可能性」(中村晋一郎)、「河川流域マネジメント」(黒川純一良)、「雨水ライフのすすめ」(笹川みちる)、「水供給の未来」(小熊久美子)、「開発途上国への貢献」(坂本麻衣子)という5つの話題提供が行われました。 

次に登壇者で議論を行いました。「実効性のある流域治水の実施、新しい小規模分散型のインフラの導入などにおいては、未来の世代を含む多くのステークホルダーとの合意形成が必要であり、そのためには共感・納得感、情報の共有、継続的なデータ収集と評価方法の確立が必要」「統合的水資源管理とは、もともとは土地と水をいっしょに考えることだった。社会共通資本を守るには自分たちのリソースを使って自分たちで何とかするという意識をもつことが重要」などの意見が出ました。

最後に沖大幹研究主幹が、「合理的無関心という言葉がある。これまでは水問題に無関心でもかまわなかったかもしれないが、いまや関心を払わないと失うもののほうが大きい時代になった。私たちは危機を煽るのではなく、できることを具体的に提言していきたい。次世代を担う子供どもたちが夢と希望をもって暮らせるビジョンが必要だ。今回のウェビナーでの議論やみなさまからのご意見に基づき、残り1年間研究を深め、2023年1月頃に最終成果を報告したい」と締め括りました。

【参加者の反応】

議員、自治体職員、ビジネスパーソンなど、313 名の参加があり、170 名がアンケートに回答、うち 9 割以上が満足という結果でした。

同時にウェビナー視聴者の水課題に対する関心についてのアンケート調査を行ないました。自由記述として、「水問題に関する知識を重層的に得ることができた」「一般にわかりやすく説明されていた。解決編が楽しみ」「皆で決めていくことの大切さ、合意のとり方などの議論が参考になった」といった意見があり、結果は次年度の研究に活用します。

アンケートの自由記述の主要ワード

アンケートの自由記述の主要ワードの関係性

本ウェビナーによって、本プログラムへの期待の高さが確認されると共に、潜在的な関心が水のどういう分野にあるのか、また、何に対する社会の認識が十分ではなく丁寧に説明、情報発信する必要がありそうかといった包括的な知見が得られました。また、情報伝達の試みとして行ったグラフィックレコーディングについても、「整理しながら話を聴くことができた」「わかりやすくてよい。後でじっくり観るのを楽しみにしている」といった意見がありました。

【「未来の水ビジョン」プログラムについて】

未来の水ビジョン(日本の水をめぐる実態の現状分析と未来ビジョンの形成ならびに水を通じた持続可能な地域の構築に向けた政策提言に関する研究)

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